「名もなき家事」対策を考える
ゴミ分類、献立作り……やるのはいつも妻!? 「名もなき家事」の不満 夫も家庭運営を
(毎日新聞2018年6月5日 東京夕刊)
トイレットペーパーの補充、ゴミの分類、食事の献立を考える--。地味で目立たないけれど、誰かがやらなければならない「名もなき家事」。この言葉の認知度が上がっている。なぜ多くの妻たちの心に響くのか。
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「名もなき家事」問題は2017年に大和ハウスが定期した時期に一度ブームに。そして、今が2回目の取り上げられ期。その間、約半年の期間はあったものの、大きく進展がみられていないということ。出される対策が機能していない点が考えらるし、もちろん単純な問題ではない、根深い問題なので、そうそう解決への道が開けるものでもない。
解決には、小技による短期的なものと、抜本的な長期的対策が必要。
例えば、ゴミ出し。「ゴミ出しくらいはやってる」という男性は多いですが、その領域の「名もなき家事」としては、分類やまとめ、ゴミ出し場所の掃除当番、ゴミ袋の在庫管理、ゴミ箱へのゴミ袋の再セットなどが挙げられます。ゴミ袋の再セットなどは、ゴミ箱の底にゴミ袋をストックしておけば、ゴミの詰まったゴミ袋を出した時に、次にセットすべきゴミ袋が見えるので再セットを意識化できる。こういう短期的対策用の小技はいくつか紹介できますが、これだけでは抜本的な対策にはならない。見えることで「あ、再セットしないと」と意識できる人がいる反面、意識の低い人には、底にあるゴミ袋のストックが目に入らないからです。
「名もなき家事」を含めたあらゆる家事を「見える化」して名を付けるというのは対策の一つとして有効。まずは自分のしている、あらゆる家事を振り返るコトが大切。自分が「なんとなく」「自然に」していることを、他人に説明もなくやってもらうというのは非常に難しい。まずは、自分が何をしているのか?この「見える化」が大切。そして、行動として表れない、頭の中の判断基準も「見える化」や「数値化」すると家族の誰でもできるような一般化ができる。
例えば、「トイレットペーパーが残り4ロールになると買いに行く」という基準。実際には、残り4ロールでも、明日から帰省だから使用量が減るという場合、買いに行くのは少し先でも問題ないという判断が加わることも。そして、それも判断基準に加える。
現実的には、頭の中でしている判断の微妙な基準を、すべて数値化するのは本当に難しい。そして、なによりも、判断が誰にでもできるようになるというのは、楽になる反面、主導権を失うことにも繋がる。ここはとてもスッキリできない部分で、家事に革新が起こりにくい背景でもある。料理は、ある程度慣れてくると、どう作るかよりも、なにを作るかの方が圧倒的に難しい問題になる。これぞ「名もなき家事」の本丸。ところが、この部分は生理的欲求と直結する領域。ここを手放したくない人、つまりブラックボックスのままにしたい人は、もしかしたら多いかもしれない。
もう一つの対策は、一人一人が自分の事だけをする「自事化」。「誰かがやらなければならない」のが大きなストレスになるのは、「やらない」人がいるから。自分の事なら負担も感じないはず。トイレも風呂もキッチンも二つ作って、各自がそれぞれ処理する。ものすごく効率は悪いけど、「やってくれない」不満は解消!だけど、そこまでやるなら別居した方が楽かもしれない。例えば、結婚を「家賃の半分こ」と考える夫婦なら、この自事化も可能になるはず。通い婚発想の夫婦の形態ともいえる。同居の場合は、例えば、シェアハウス化して共有領域はお金を払って請け負うというなら、これは現実的な解決策の一つかもしれない。夫婦の形として、別居婚やシェアハウス夫婦とはいかがなものか?という点は別のテーマですが。
「名もなき家事」問題は、夫婦の関係性における歪みのあらわれ。一人暮らしなら、とくに問題にもならない「名もなき家事」問題。複数人で暮らすから起こる家事の問題は、突き詰めていくと関係性の一点に突き当たります。ここを変えない限り、「名もなき家事」問題は解決しません。